「建築物省エネ法」って何?関係あるの?

2016.02.06

社長の小池です。
いつも、ブログを見て頂き有難う御座います。

 今日のブログは、「建築物省エネ法」(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)について書きたいと思います。
 「建築物省エネ法」は住宅・建築物に関する省エネ性能の向上にかかわる基準や制度を総合的に盛り込んだ法律です。チョット 難しいお話になるかも知れませんが、これからの日本の建物に関する重要な法律であり、ご参考になればと思います。

(1)「建築物省エネ法」の時代背景


                        【資料1】

①エネルギー自給率    
 エネルギー自給率ですが、元々日本はエネルギーを海外に依存し、自給率は高くはなかったのですが、震災以降 原発が止まっていることもあり自給率は19.9%から6.0%と大幅に低下しているようです。(私は、原発 容認派でも何でもありません。資料の説明です!!)

②石化燃料依存率
                        【資料2】
 
 最近は原油の価格が暴落していますが、電力の石化燃料依存度は88%であり、国富の流失・供給不安の拡大という面は否定は出来ないように思います。

③部門別エネルギー消費
                        【資料3】
 

 部門別に最終エネルギーの消費の推移を見ると
 産業部門(シェア43%  1990年対比 ▲12.5%)
 運輸部門(シェア22.5%  1990年対比 ▲0.7%)
 民生部門(シェア34.5%  1990年対比 +33.5%)
となっています。
 いまやエネルギー全体の3分の1の消費を占めるにいたった民生部門の改善が、急務になっていると言えます。
 民生部門はとは、住宅・建築物です。

(2)建築物省エネとは

 「建築物省エネ法」ですが、平成28年4月から誘導的措置が施行され(周知期間)、平成29年4月には規制的措置が施行予定となっています。
                        【資料4】
  

①「建築物省エネ法」(新築)の対象
 「建築物省エネ法」の対象ですが、下記の通りの区分に分かれます。
  大規模建築物(2,000㎡以上)        非住宅・住宅
  中規模建築物(300㎡以上2,000㎡未満)  非住宅・住宅
  小規模建築物(300㎡未満)

②適合義務と届出義務
 今回の法律では、上記の資料にありますが、建築物の省エネ性能について従来大規模建築物・中規模建築物は届出義務であったものが、大規模建築物の非住宅について適合義務が課せられるようになりました。
                        【資料5】
 

 その理由は、上記資料にあるように、2,000㎡以上の非住宅 大規模建築物は全体の着工数の0.6%を占めるにすぎないのに、エネルギーの消費量は全体の35.6%を占めることによります。
 兎に角、民生部門の省エネを効率よくするために、手をつけたのが「建築物省エネ法」と
言えます。

 ここまでの資料を読めば、「建築物省エネ法」は当社のブログを読まれる方々(300㎡未満の戸建て住宅)には関係ないように思われます。小規模建築物についても、年間150棟以上建築する会社が対象です。

しかし・・・・・

(3)建築物省エネ法と住宅

①性能の数値化

 「建築物省エネ法」の住宅に関わる計算方法は「建築物エネルギー消費性能基準」で求められますが、その内容は戸建て住宅向け省エネ基準「H25基準」と同様に「外皮性能」(断熱性能、日射遮蔽性能)+「エネルギー消費性能」で構成され、求められる水準も「H25基準」と同じレベルのものが求められます。(H25基準については、当社のホームページを参照下さい)

 これからの戸建て住宅は、大規模建築物と同じく、経験と勘でなく「外皮性能とエネルギー消費性能」による数値化で性能を表示する時代になりました。

 戸建て住宅と大規模建築物は違うものでなく、同じ方向に向って法整備が進められようとしています。

②住宅の資産価値としての省エネ対策

 私は、色々なところで住宅の資産価値の重要性をお話してきました。

 その資産価値として必要不可欠の要素が住宅の省エネルギー性能です。

 【資料5】で、非住宅の特定建築物がエネルギー消費量が多い現実をお話しましたが、全体の着工数の85.2%を占める300㎡未満の住宅も、全体の36.8%のエネルギー消費をしている現実もあります。
 戸建て住宅の省エネ対策は小さなことの積み重ねです。広く・薄く省エネのを進めるのが、「H25基準」です。

                        【資料6】
 
 特に、一般住宅では用途別では「暖房」・「給湯」の対応、エネルギー別では電気の対応が重要に思われます。これらの対策は、生活する上でのランニングコスト(水道光熱費)に直結する大変重要な問題です。

③H25年基準の義務化と優遇制度

 更に、「建築物省エネ法」は平成28年4月から施行されますが、戸建て住宅の省エネ基準「H25基準」は2020年(平成32年)には義務化の動きがあります。

 国土交通省の考える省エネのロードマップでは、大きな所物件から小さな物件まで順次法制化するようです。
 
 又、これらの政策を進めるために、省エネ対策として「認定低炭素住宅」や省エネ対策に地震対策等か加えた「認定長期優良住宅」には様々な税制の優遇措置をとっています。
                        【資料7】
 

まとめ

 これまでのお話は、国土交通省 住宅局 住宅生産課 建築環境企画室が作った「建築物省エネ法の概要」(130ページ)から資料をベースに、私なりにコメントを付けさせて頂きました。

 「いよいよ民生部門の省エネ対策は、待ったなし! この時代に、省エネを考えない住宅は時代遅れ!」これが、当社の考えです。

 当社の家作りは、何十年と住宅に関わってきた経験をベースにはしていますが、これからの住宅は地球をとりまく環境と、国の進める住宅政策とコラボしなければなりません。

 世の中の流れは大きく変わり、スピードは益々速くなっているように思います。
 これらの変化に乗り遅ることなく、情報の整理とチャレンジ精神をもって家作りに励みたいと当社は考えています。

 これからも、ブログなどの機会を通じて、住宅をとりまく状況の変化の情報発信、当社のホームページの商品ガイドブックとして書いてゆきます。

 長いブログになりましたが、これからも宜しくお願いします。

                                (記:小池英樹)


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