日本と諸外国の中古住宅市場の現状

2025.09.16

ここ数年の建築費上昇で中古住宅にも関心が向けられています。

では、日本の中古住宅(空き家戸数も含め)の現状はどうかという事ですが、現在、空き家が約900万戸になっています。ちなみにアメリカの空き家は1,300万戸で、それぞれの既存住宅の空き家率(全住宅に対して)は日本が13.8%、アメリカは約10%ですから、そんなに極端な違いは無いように思われます。

では、リフォーム市場はどうかと言うと、金額にすると日本は年間約6兆円、アメリカは約60兆円ですのでなんと日本の10倍もあります。

もちろん日本とアメリカの人口は違いますから多いのは分かりますが、しかしアメリカの人口は約3億人ですから日本の人口の約2.4倍です。という事は単純に人口比較で計算してもアメリカは日本の約4倍以上のリフォーム件数があります。

この背景には日本の住宅事情「少子高齢化や建物の老朽化、相続問題」などの複合的要因が影響しています。また、中古住宅の流通シェアー は日本が全住宅の14.5%、アメリカが約76.4%、イギリス82.9%、フランス86.9%と比較にならないほど日本の中古市場は低いレベルです。この原因は日本の特徴として、以下のようなことがあげられます。

・築年数による価値低下(築20年を超えると資産価値0とみなされる場合もある)

・中古住宅の状態や履歴情報が不十分

・新築志向が強く、中古住宅への選択肢が限られる。

 

一方、アメリカなどは

・住宅の長寿命化、リフォーム・リノベーション・インスペクションによる住宅の価値が維持されている。

・市場の透明性が高く、買主は安心して取引ができる。

これらのことから言えるのは、これまでの日本の住宅は品質が低く、スクラップ&ビルトの古い考えのツケが現在に回って来ている結果と言えます。

しかし、ここ数年前から国の建物基準も耐震、断熱、省エネなど高レベルに法改正され、認定長期優良住宅は新築住宅の約40%に届くほどになってきました。

 

これから、新築住宅を計画する場合は「認定長期優良住宅」「ZEH住宅」が最低基準であり、これが「安物買いの銭失い」にならない一番の方法と言えます。

住宅市場は、少子化による人口減や物価上昇による建築費の高騰などが原因で新築件数は減少傾向になってきます。このため、従前の基準で建築された中古住宅の耐震、断熱、設備等のリフォーム工事に加え、現在の新しい建築基準で建てられた住宅の維持管理リフォームも主流になる傾向が出てきています。

住宅取得の場合、予算も考慮し立地条件の良い中古住宅を購入し高品質なリフォームをする。もしくは最低でも認定長期優良住宅で建替えする。この場合でもけっして「安物買いの銭失い」の後悔が無いように住宅取得には熟慮が必要と思います。

 

 

松浦。。


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