大坂万博 大屋根リング
社長の小池です。
6月13日(金)、社内旅行で大阪万博に行ってまいりました。
会場内は、老若男女の日本人、そして多くの外国人で溢れかえり、大変な賑わいでした。
私の感想は一言、「百聞は一見に如かず」です。
マスコミ報道では否定的な意見も散見されますが、そうした先入観にとらわれず実際に足を運び、体験してみると、思いがけない楽しみ方や気づきが多く得られると感じました。
並ぶのが苦手な私は、ほとんどのパビリオンを回りませんでしたが、ランチはチェコスロバキア館に併設されたレストランで「鴨と紫キャベツのパオ&ピルスナービール(¥4,050)」をいただきました。
ドラえもんの「どこでもドア」でチェコスロバキアに瞬間移動したかのような気分で、わずか30分で異国の食体験をして日本に戻ってきたような不思議な感覚でした。
しかも料金は4,050円。コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスの両面で非常に優れていたと、個人的には大満足です。
大坂万博 大屋根リング
さて、在来軸組工法で木造住宅建築に携わる立場から、今回の万博でも大きな話題となっている「大屋根リング」についての所感を述べさせていただきます。
【概要】
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建築面積:61,035.55㎡
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直径:内径約615m、外径約675m
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全周:約2,025m(開催年にちなんだ長さ)
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幅:約30m
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高さ:内側約12m、外側最高部約20m
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使用木材:国産材(スギ、ヒノキ)約7割、外国産材(オウシュウアカマツ)約3割
(※2025年3月4日、「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定されました)
(1)大屋根リングの外観
大断面集成材を金物工法で組み上げた構造で、木造住宅としては規格外のスケールです。
内側の高さは約12m、木造3~4階建てに相当。外側の高さは約20mで、木造6~7階建てのスケールに匹敵します。
その圧倒的なスケール感には、確かに圧倒されました。
(2)大屋根リングの内部
内部には壁が一切なく、風通しを意識した開放的な設計となっていました。
夏場でも比較的快適に過ごせそうな印象を受けました。
この写真には写っていませんが、木製のベンチがたくさん置いてあって、来場者は疲れた体を癒しておられました。
(3)大屋根リングの屋上(スカイウォーク)
屋上へはエレベーター、またはエスカレーターで上ることができます。
私は午前中にスカイウォークへ上がりましたが、海風が非常に心地よく、清々しい時間を過ごせました。
・内側はフラットな木製遊歩道
木材の柔らかな踏み心地で、コンクリート舗装と違い歩いても疲れにくいと感じました。
とはいえ、一周約600mあるため、次の予定を考慮して途中で引き返しました。
・外側は斜面となり空中庭園
斜面となっており、空中庭園として整備されています。
この植栽が、屋根面の温度上昇を抑える効果を果たしているように思えました。
(4)大屋根リングの私見
私はこのような大規模イベントの開催後には、“レガシー”として象徴的な建築物やモニュメントを後世に残すべきだと考えています。
そうした象徴を残すことによって、何十年後であっても「2025年の大阪万博とは何だったのか」を振り返るきっかけとなり、時代の記憶を継承する礎になるのではないでしょうか。
実際、1970年の大阪万博では「太陽の塔」がその象徴的存在となり、現在も大阪府吹田市に堂々と立ち続けています。
私はあの塔を見るたびに、高度経済成長の終焉と、それ以降の日本の歩みや変化に思いを馳せずにはいられません。
現在のところ、「大屋根リング」を今後どう残していくかは、まだ正式に決まっていないようです。
しかし、私はぜひ『未来への遺産としての保存・継承』を前向きに検討していただきたいと願っています。
なお、ご存じのとおり大屋根リングは木造であり、鉄骨構造に比べて維持管理には高い技術と費用が求められる可能性もあります。
それでも、木造だからこそ生まれる風合いや温かみ、そして時間の経過とともに深まる風格は、他には代えがたい価値だと思います。
私は、大屋根リングが奈良の大仏殿のように、数世紀にわたり人々の記憶とともに生き続ける建築物として後世に残っていってほしい――そんな願いを強く抱いています。