断熱性能と一次エネルギー消費量の関係について

2025.05.09

社長の小池です。

「子育てグリーン化事業2025」がスタートしました。
本事業の中では、「断熱性能」と「一次エネルギー消費量削減率」という2つの性能数値が補助金の要件として明記されています。

これらの言葉から何となく、

  • 「断熱性能」= 冬は室内の熱が逃げにくく、夏は外の熱が入りにくい性能

  • 「一次エネルギー消費量削減率」= よく分からないが“省エネ度合い”を表す数値

と理解されている方が多いのではないでしょうか。

本日はこの2つの意味について、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。


断熱性能とは?

住宅の断熱性能は、以下の要素によって決まります。

  1. 断熱材の種類・厚み・施工方法と施工箇所
     例:グラスウール、ウレタンフォームなどを壁・天井・床・屋根・基礎に適切に配置

  2. 開口部(窓・ドア)の性能
     窓は住宅で最も熱が出入りする部分。大きさやガラスの種類(ペア・トリプルなど)、サッシの材質が重要です。

  3. 気密性能
     どんなに高性能な材料を使っても、隙間があれば効果が下がります。隙間風を防ぐ「気密施工」が欠かせません。

  4. 設計の工夫
     断熱材が途切れないように連続して配置し、熱橋(ヒートブリッジ)を防ぐことが求められます。

  5. 地域と気候に応じた仕様選び
     日本は地域によって気候が大きく異なるため、「地域区分(1〜8)」に応じた断熱仕様の選定が必要です。

これらの要素を具体的な平面図・立面図に反映させ、住宅ごとの断熱性能が確定されます。


断熱性能を示す指標

指標 説明
Ua値  外皮平均熱貫流率。断熱性能の中心指標で、数値が低いほど高性能。
C値  気密性能を示す指標。数値が低いほど隙間が少なく、気密性が高い。
断熱等級

 

 

 Ua値を基準に定められた等級。
等級4:2025年義務化水準(Ua値 0.87)
等級5:長期優良住宅・ZEH水準 (Ua値 0.60)
等級6:GX志向型住宅水準 (Ua値 0.46)

断熱性能はこれらの数値で「見える化」され、感覚ではなく定量的に判断できます。


一次エネルギー消費量削減率とは?

一次エネルギーとは、電気・都市ガスなどの二次エネルギーの元となるエネルギー(石油・石炭・天然ガス・太陽光など)のことです。
「削減率」は、省エネ対策によってこの一次エネルギーをどれだけ減らせたかを示す指標です。

この数値を算出するために、2つの値を比較します:

  1. 基準値:2013年の省エネ基準に基づく標準的な消費量

  2. 設計値:実際に建てる住宅で想定される消費量(一次エネルギー換算)


BEIとは?

「BEI(Building Energy Index)」は、この削減率を表す指標です。

  • BEI = 設計値 ÷ 基準値

  • 一次エネルギー削減率(%) = (1 – BEI) × 100

例:

  • BEI = 0.80 → 削減率 20%

  • BEI = 0.65 → 削減率 35%

BEIや削減率が低い(=削減効果が高い)ほど、省エネ性の高い住宅といえます。


断熱性能と一次エネルギー削減の関係

以下のような流れで関係しています:

  1.断熱性能を高める

  2.室内の熱が逃げにくくなる

  3.冷暖房の使用が減る

  4.電気・ガスの使用量が減る

  5.一次エネルギー消費量が減る → BEIが下がる → 削減率が上がる

つまり、断熱性能を高めることが、一次エネルギー削減の第一歩です。


補助金対象となる数値要件

区分 断熱等級 BEI要件
長期優良住宅  等級5以上  BEI ≦ 0.80(20%削減以上)
GX志向型住宅  等級6以上  BEI ≦ 0.75(35%削減以上)

最後に

「子育てグリーン化事業2025」の補助金を受けるには、上記の数値基準を満たす必要があります。
内容はやや複雑ですが、当社のモデル住宅や事務所にて、わかりやすくご説明しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

どうぞよろしくお願い申し上げます。


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